英国子会社に関するコンプライアンス違反

悪質鑑定人問題に関するコンプライアンス違反と非常に共通する被告・三井住友海上の同類の重大なコンプライアンス違反の事件として「英国子会社問題」があります。

それについて記述いたします。

(裁判所への原告が提出した陳述書より)

被告・三井住友海上の英国子会社の重大なコンプライアンス違反の不祥事は金融庁に指摘され,海外営業活動の停止等極めて重大な処分を金融庁より受けましたが,その英国子会社の不祥事は改善されることが無く,その後も度々長年にわたり英国子会社のコンプライアンス違反は続き,株主総会の毎年の株主からの質問にも虚偽の発言をして逃げ回る等,その不祥事の隠ぺい工作を図り続けました。結局最後には逃げ切れずに英国の金融関連の管轄監督機関より4億円以上という巨額の罰金を命じられ,それを認め支払っています。

【1】 保険金不払い事件での極めて厳しい被告への行政処分

2006年に起きた損害保険業界の「保険金不払い事件」で,被告・三井住友海上は他社に比べて,ずば抜けてその件数・金額が大きかったわけでもないのに,長期の営業停止等,他社に比して極めて厳しい行政処分を受けました。

しかし,その極めて厳しい行政処分の本当の理由は,この保険金不払いの行政処分を掲示した金融庁のホームページに表記してある「英国子会社問題」が,本当の原因だと言われています。

その極めて厳しい行政処分の後の,被告の株主総会で,株主が2006年の「保険金不払いによる業務停止処分」の本当の原因と噂されている「英国子会社の不祥事」の内容について,説明を求めたところ,会社側の回答は「不祥事でもなんでもない。ただ,今後,海外の子会社の管理監督をきちんとするようにということで,単に英国子会社がその一例とされただけだ」との回答でした。

このため,その質問した株主が,「英国子会社の不祥事」の内容について,金融庁に開示請求したところ,金融庁より,「この件を開示することにより三井住友海上の今後の経営上大変な影響を及ぼすため開示できない」との非開示の決定がされました。「不祥事でもなんでもない」という被告の回答と「この件を開示することにより三井住友海上の今後の経営上大変な影響を及ぼすため開示できない」という金融庁の非開示理由がかみ合いません。

【2】 英国子会社再度の不祥事

しかし,そのわずか数年後に,「再度の英国子会社の重大不祥事に金融庁激怒・怒り心頭か?」という趣旨の記事が,「選択」(2010年5月号」と「金融ビジネス」(2010年春号)のふたつの雑誌に相次いで報じられました。

「選択」では,「三井住友海上『巨額損失』の真相」との見出しで,英国子会社で2008年に数百億円もの巨額損失が発生したかという理由として「子会社が独自判断できる引き受け限度額を大幅に超過していたにもかかわらず,英国子会社は本社取締役会に本件を諮らなかった」と報じています。また,「金融ビジネス」では,「三井住友海上が金融庁に全面屈服した『罪の告白』の中身」という見出しで,その内容について極めて詳しく報じています。

いずれの記事も2006年の「英国子会社の大不祥事」が,2008年にも起きていたという内容です。なお,原告がこのふたつ雑誌の編集部に確認したところ,被告からは,何ら抗議は来ていないそうです。また,社内の業務連絡でも,この件について社員に何らの連絡通知もありませんでした。

当然,金融庁は激怒したようです。英国子会社が繰り返し不祥事を起こしたのですから,当然です。「月刊FACTA」(2012年9月号)の記事によると,金融庁とつながりのある被告専務執行役員が金融庁に徹底的に根回しして何とか行政処分を免れたとのことです。

そして,この再度の英国子会社の不祥事についても,被告は,本件英国子会社問題を追及する株主の質問に対して,またもや以前と同様に「不祥事でもなんでもない」という虚偽の回答を株主総会で,その後も毎年続けてきました。 また,その後の英国子会社に関する朝日新聞の記事(平成22年8月19日朝刊)にも沈黙を続けました。

【3】 英国政府が巨額の罰金刑

しかしながら,日本経済新聞の記事(2012年5月9日付)をはじめとした多数の記事のとおり,被告2012年5月8日,英国の金融監督機関から,被告の英国子会社に「企業統治に(多数の)重大な怠慢行為があった」として,被告に330万ポンド(4億3千万円),当時の英国子会社の熊谷陽一社長個人に11万9300ポンドの罰金(約1,500万円)が科せられ,(さらに)ロンドンで二度と働けない「追放処分」となったのです。

前述のとおり,被告は長年,株主総会の場で,株主からの英国子会社に関する不祥事の追及に対して,被告は「ガバナンスには何の問題も無い」,「株主総会と関係がないので回答を拒否する」などと,長年逃げ回ってきました。

しかし,英国政府によるこのような厳格な処分が,被告がコンプライアンス違反の是正に応じなかったため,課されたものであることは明らかです。

日本の金融庁はうまく丸めこめても,英国政府には通じなかったようです。この件は「月刊:FACTA」(2012年9月号)に,「三井住友海上の恥というよりも,ほとんど日本の恥」とまで書かれてしまいました。

【4】 鐘ヶ江洋三鑑定人問題との共通点

このように,被告の英国子会社問題は,長年,「何ら問題が無い」と事実を隠ぺいして逃げ続けてきましたが,最後には,重大なコンプライアンス違反があったとして外国政府から厳格な処分を受けて,一部マスコミから「日本の恥」とまで書きたてられる結果となりました。

鑑定人も,損害調査でずさんな仕事をすれば,依頼した被告だけではなく,共同保険,重複保険等で日本の損害保険業界全体が莫大な損害を受けるだけではなく,再保険等で世界中の損害保険会社に莫大な損害を与えます。つまり,問題鑑定人を擁護し,重用することは英国子会社問題と同様,重大なコンプライアンス違反なのです。

なお,原告が原告である本件訴訟も,インターネット新聞「マイ・ニュース・ジャパン」に記事として掲載されています。世間が同様の社会的問題としてとらえている証左ではないでしょうか。

◆原告の陳述書第8部(甲第23号証の9) → (ここをクリック)

 


公開日:
最終更新日:2014/12/31

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